八月某日、君に良く似た死神を見た

8/9
みんなに心配をかけてしまって申し訳ない。子どものときは入院できたらいいなーと気楽に思っていたものの、大人になるとそうはいかない。はーあと溜息をついて息を吸ったらあばらがすごく痛かった。自分がなぜここにいるのか解らない、いや、分かってるんだけど解らないが正しいのかもしれないし、自分がそうしてここにいるということを認めたくないのかもしれない。夢ならはやく醒めてくれという感じ。飯はまずいし煙草は吸えないし病院とはロクでもないところだなと思う。入院続きの祖父を哀れんだ、まぁその祖父のかかりつけの病院に搬送されるわたしもさすが孫といった感じだけど。


8/10
やることがない、といったら嘘になる。朝6時に電気はついてあっという間に食事を持ってこられ、片付いたと思えば昼が来て夜が来る。慣れてない入院生活は慌ただしい。これといった検査なんかがあるわけではないんだけれど。安静じゃなくてさっさと治療を始めて欲しい。わたしは寝るためにいるわけじゃない、治すためにここにいるのだ。いい加減にしないと夏が終わってしまう。まだやりたいこと半分しかできてないのに。


8/11
5日目になる入院生活はもういろいろとわかってきて正直、担当外の看護師の雑さにはむかつくし医者の卵の中途半端な説明の説得力の皆無さにはほんっとイライラするけど、なんとなく過ごしてるからまだたぶん大丈夫。


8/12
祖母がジェラートピケのパジャマを持ってお見舞いに来てくれた。お返しに村上龍限りなく透明に近いブルーを貸してあげた。
恋人に電話したら、ゆうちゃんひとりじゃないよって1人でいてくれた。
そんなことでうれしくなったりかなしくなったりたのしくなったりくるしくなったりする。他人に感情をむちゃくちゃにされるのは案外きもちいい。


8/13
友人が子どもといっしょにお見舞いにきてくれた。人と話す時間がとても少ないから人が会いにきてくれるのはうれしい。そんな中、母は毎日会いに来てくれてるけれど。不謹慎だけど愛がいっぱいで恵まれてるんだなと気付く。はやく元気になってうだるような暑さの中アイスをくわえながら写真を撮りたい。